犬がガムで腸閉塞?見逃さないで!症状と飼い主ができること

愛犬が喜んでくれる犬用ガムは、デンタルケアやお留守番の際の良いパートナーとなります。しかし、その一方で、犬が誤ってガムを丸呑みしてしまうと、深刻な事態を引き起こす可能性があります。「もしかしたらうちの子も?」と不安に感じ、検索された方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、犬がガムをなぜ丸呑みしてしまうのか、様々な種類の犬用ガムの特徴、そして最も懸念される腸閉塞とはどのような状態なのかを解説します。初期に見られる症状から、進行した際の重篤な症状、さらには緊急性の高いサインについても詳しく説明します。

また、腸閉塞以外にも、ガムの誤飲が引き起こす可能性のある危険性、万が一喉に詰まらせてしまった際の応急処置についても触れます。もし腸閉塞が疑われる場合の適切な対処法、獣医師による診断方法、そして治療にかかる費用についても情報を提供します。

何よりも重要なのは予防です。この記事では、愛犬に安全にガムを与えるための正しい方法についても解説します。この記事を読むことで、犬のガム誤飲による腸閉塞の症状と対策について深く理解し、大切な愛犬の健康を守るための一助となれば幸いです。

記事のポイント

1.犬がガムを丸呑みする理由と、様々な犬用ガムの種類や特徴
2.犬の腸閉塞のメカニズム、初期と進行した際の症状、緊急性の高いサイン
3.ガム誤飲による腸閉塞以外の危険性と、喉に詰まらせた際の応急処置
4.腸閉塞が疑われる場合の対処法、獣医師の診断と治療、そして安全なガムの与え方

犬のガム誤飲による腸閉塞:症状と危険性

なぜ犬はガムを丸呑みしてしまうのか

犬がガムを丸呑みしてしまうのには、いくつかの理由が考えられます。一つには、犬がおやつやおもちゃを自分のものだと認識し、他の犬や人に取られないように急いで飲み込もうとする行動が挙げられます。特に多頭飼いの家庭では、この傾向が強く見られることがあります。

また、犬は咀嚼すること自体を楽しみますが、ガムのような比較的小さなものは、十分に噛む前に誤って飲み込んでしまうことがあります。さらに、犬種によっては、食べ物を細かく噛むことを得意としない場合や、遊びの一環として物を口に入れてしまう習性を持つ犬もいます。

加えて、犬用ガムの中には、犬が好む香料や味付けがされているものがあり、食欲をそそるあまり、噛むことを忘れさせるほど夢中になってしまうことも、丸呑みの原因となり得ます。

犬用ガムの種類と特徴

犬用ガムと一口に言っても、その種類は多岐にわたります。最も一般的なのは牛皮を主原料としたガムで、骨型やスティック状など様々な形状があり、硬さも様々です。これらは、犬が噛むことで歯垢の除去を助けることを目的としています。

その他には、豚皮や鶏肉、魚などを原料としたガムや、米粉やでんぷんなどをベースにした比較的柔らかいガムもあります。これらのガムは、嗜好性が高く、ご褒美やおやつとして与えられることが多いです。

近年では、デンタルケアに特化したガムも多く販売されており、噛むことで歯石の付着を抑えたり、口臭予防の効果が期待できる成分が配合されているものもあります。ただし、硬すぎるガムは歯を傷つける可能性や、丸呑みによる危険性も伴うため、愛犬の年齢や歯の状態、大きさに合わせて適切なものを選ぶ必要があります。

腸閉塞とは?そのメカニズム

腸閉塞とは、何らかの原因によって腸の内容物が正常に通過できなくなる状態を指します。犬の場合、異物の誤飲が原因で起こることが非常に多いです。特にガムは、噛み砕かれることなく塊のまま飲み込まれることがあり、その形状や大きさによっては腸管内で詰まってしまうことがあります。

腸閉塞が起こると、腸の蠕動運動が妨げられ、内容物が停滞します。これにより、腸管内の圧力が上昇し、血管が圧迫されて血流が悪化することがあります。さらに進行すると、腸壁が壊死したり、腸管が破裂して腹膜炎を引き起こすなど、命に関わる危険な状態に陥る可能性があります。

また、ガムが部分的に閉塞を引き起こした場合でも、嘔吐や腹痛などの症状が現れ、脱水や電解質異常を引き起こすことがあります。早期の発見と適切な治療が非常に重要となる病態です。

犬の腸閉塞、初期に見られる症状

犬がガムを誤飲し、腸閉塞を起こした場合、初期にはいくつかの兆候が見られることがあります。最も一般的な症状の一つが嘔吐です。これは、腸の内容物が通過できず、逆流するために起こります。最初は食べたものを吐くことが多いですが、進行すると胃液や胆汁を吐くこともあります。

また、元気消失や食欲不振も初期に見られる症状です。普段は活発な犬がぐったりしていたり、大好きだったご飯を見ても興味を示さない場合は注意が必要です。腹部の不快感から、お腹を触られるのを嫌がったりすることもあります。

排便の変化も重要なサインです。便が出なくなったり、少量しか出ない、あるいはいつもより硬い便が出るなどの変化が見られることがあります。これらの症状は、他の病気でも見られることがありますが、ガムを誤飲した可能性がある場合は、特に注意深く観察し、早めに動物病院を受診することが大切です。

進行した腸閉塞の重篤な症状

腸閉塞が進行すると、初期の症状に加えて、より重篤な状態を示すことがあります。腹部の膨満は、腸管内にガスや液体が貯留するために起こり、触ると硬く張っているように感じられることがあります。この状態は、犬にとって非常に苦痛を伴います。

脱水症状も進行期によく見られる症状です。頻繁な嘔吐や食欲不振により、体内の水分が失われ、ぐったりとした様子が見られます。歯茎や舌が乾いていたり、皮膚の弾力が失われている場合も脱水が疑われます。

さらに、腸管内の血流が悪化すると、激しい腹痛が生じることがあります。犬は痛みを訴えることが難しいため、落ち着きがなくなったり、 じっとしていたり、触ると過剰に反応するなどの行動で示すことがあります。

最も深刻な状態になると、腸管が壊死したり破裂したりする可能性があり、その場合は腹膜炎を引き起こし、急激な体調悪化が見られます。意識が朦朧としたり、呼吸困難に陥ることもあり、緊急の治療が必要となります。

緊急性の高い腸閉塞のサイン

愛犬がガムを誤飲した後に、以下のようなサインが見られた場合は、腸閉塞の可能性が高く、直ちに動物病院を受診する必要があります。まず、持続的な激しい嘔吐は、腸閉塞の強い疑いがあります。特に、何度も吐こうとするのに何も出てこない場合や、吐物に便のような臭いが混じっている場合は危険な兆候です。

次に、激しい腹痛も緊急性の高いサインです。犬がお腹を触らせまいとしたり、震えていたり、苦悶の表情を浮かべている場合は、すぐに獣医師の診察を受けてください。

また、全く排便が見られない、または少量で非常に硬い便しか出ない場合も、腸管が詰まっている可能性があります。加えて、急激な元気消失やぐったりとした状態、意識の低下なども、重篤な腸閉塞を示唆するサインです。

これらの症状は、時間とともに悪化する可能性が高いため、自己判断せずに、一刻も早く獣医師の診断と治療を受けることが、愛犬の命を守るために最も重要なことです。

愛犬がガムで腸閉塞?症状と予防・対処法

犬のガム誤飲、腸閉塞以外の危険性

犬がガムを誤飲した場合、最も懸念されるのは腸閉塞ですが、それ以外にもいくつかの危険性があります。まず、ガムが気管に詰まってしまうと、呼吸困難を引き起こし、最悪の場合窒息死につながる可能性があります。特に小型犬や子犬は、気道が狭いため注意が必要です。

また、噛み砕かれたガムの破片が歯の間に挟まったり、歯茎に刺さったりすることで、口内炎や歯周病の原因になることもあります。さらに、ガムの中には消化しにくい成分が含まれている場合があり、大量に摂取すると消化不良を起こし、嘔吐や下痢などの症状を引き起こすことがあります。

加えて、人間用のガムにはキシリトールが含まれていることがあり、犬がこれを摂取すると、低血糖や肝臓障害を引き起こす可能性があり、非常に危険です。犬に人間用のガムを与えることは絶対に避けるべきです。

喉に詰まらせた際の応急処置

もし愛犬がガムを喉に詰まらせてしまった場合、一刻も早く適切な応急処置を行う必要があります。まず、犬が咳き込んでいる場合は、無理に口を開けずに様子を見ることが大切です。自力で吐き出せる可能性があります。

しかし、呼吸困難に陥っている場合は、すぐに犬の口を開け、詰まっているものが見えるようであれば、指やピンセットなどで慎重に取り除くことを試みます。ただし、奥に押し込んでしまう危険性もあるため、無理に行うのは避けるべきです。

もし異物が見えない場合や取り除けない場合は、ハイムリック法を試みます。小型犬であれば、犬の後ろから両手で腹部を抱え込み、肋骨の下、みぞおちの部分を数回、素早く内上方に向かって圧迫します。大型犬であれば、後ろ足を持ち上げて頭を下にした状態で、同様に腹部を圧迫します。

これらの応急処置を試みても改善しない場合は、直ちに動物病院に連絡し、指示を仰ぎながら、できるだけ早く病院へ連れて行ってください。時間との勝負になるため、迅速な対応が重要です。

腸閉塞が疑われる場合の対処

愛犬がガムを誤飲し、腸閉塞の初期症状と思われる様子が見られた場合、飼い主として冷静かつ迅速な対応が求められます。まず、自己判断で様子を見るのではなく、できるだけ早く動物病院に連絡し、状況を詳しく伝えることが重要です。獣医師の指示を仰ぎ、受診が必要かどうか判断してもらいましょう。

病院へ行く際には、誤飲した可能性のあるガムの種類や量、いつ頃誤飲したかなど、わかる範囲で情報を整理して獣医師に伝えるようにしてください。もし、吐いたものがあれば、それを持参することも診断の助けになることがあります。

動物病院では、レントゲン検査や超音波検査などを行い、腸閉塞の有無や程度を調べることが一般的です。早期に診断がつけば、内科的な治療で改善する可能性もありますが、状態によっては外科手術が必要になることもあります。

いずれにしても、自己判断で市販薬などを与えることは、症状を悪化させる可能性があるため絶対に避けるべきです。獣医師の指示に従い、適切な治療を受けさせることが、愛犬の回復への第一歩となります。

獣医師による腸閉塞の診断方法

動物病院では、犬の腸閉塞を診断するために、いくつかの検査が行われます。まず、飼い主からの詳細な問診が重要です。いつから症状が見られるか、どのような症状があるか、そして最も重要な情報として、異物(この場合はガム)を誤飲した可能性があるかどうかを獣医師に正確に伝える必要があります。

身体検査では、犬の全身状態を評価し、腹部の触診を行います。腸閉塞の場合、腹部が張っていたり、触ると痛がる様子が見られることがあります。しかし、初期の段階では明確な異常が見られないこともあります。

レントゲン検査は、腸閉塞の診断において非常に有効な手段です。腸管内にガスが貯留している様子や、異物の影が写ることがあります。ただし、ガムの種類によってはレントゲンに写りにくい場合もあるため、確定診断には至らないこともあります。その場合は、造影剤を用いたレントゲン検査や、より詳細な情報を得るために超音波検査が行われることがあります。超音波検査では、腸管の拡張や蠕動運動の状態、異物の位置などをより詳しく観察することができます。

これらの検査結果を総合的に判断し、獣医師が腸閉塞であるかどうかを診断します。

腸閉塞の治療:手術と費用について

犬の腸閉塞の治療法は、閉塞の程度や原因、犬の状態によって異なります。早期の比較的軽度な閉塞であれば、点滴による脱水補正や電解質バランスの調整、吐き気止めの投与などの内科的治療で改善が見込める場合があります。しかし、異物が完全に詰まっている場合や、腸管の血流が悪化している場合、または内科的治療で改善が見られない場合は、外科手術が必要となります。

手術では、開腹して腸管内の異物(ガム)を取り除き、必要に応じて損傷した腸管の一部を切除したり、縫合したりします。手術後は、入院して経過観察を行い、感染症の予防や術後の栄養管理などが行われます。

腸閉塞の手術費用は、動物病院や手術の内容、入院期間などによって大きく異なります。一般的には、数十万円程度かかることが多いとされています。緊急手術になった場合や、合併症が見られた場合は、さらに費用が高額になることもあります。ペット保険に加入している場合は、保険の適用範囲を確認することが重要です。いずれにしても、費用について不安がある場合は、事前に獣医師に相談することをお勧めします。

誤飲を防ぐ!ガムの正しい与え方

愛犬のガム誤飲を防ぐためには、飼い主がいくつかの点に注意して与える必要があります。まず、犬の口のサイズに合った適切な大きさのガムを選ぶことが重要です。小さすぎるガムは丸呑みしやすいため、犬が簡単に飲み込めない程度の大きさのものを選びましょう。

また、硬すぎるガムは、犬が無理に噛み砕こうとして大きな破片を飲み込んでしまう危険性があります。愛犬の噛む力や歯の状態に合わせて、適切な硬さのガムを選ぶようにしましょう。

ガムを与える際は、必ず飼い主の目の届く範囲で与え、犬が夢中になって丸呑みしないように注意深く観察してください。もし、小さくなりすぎて飲み込んでしまいそうなサイズになったら、すぐに取り上げるようにしましょう。

さらに、一度に大量のガムを与えないことも重要です。適量を守り、おやつとして与える頻度も考慮しましょう。特に、初めて与えるガムの場合は、少量から試して、犬の様子に異常がないか確認することが大切です。これらの点に注意することで、ガムによる誤飲のリスクを大幅に減らすことができます。

犬のガム誤飲による腸閉塞の症状と対策 まとめ

  • 犬がガムを丸呑みする背景には、早食いや遊びの要素がある。
  • 犬用ガムには様々な種類と特徴があり、目的に応じた選択が重要である。
  • 腸閉塞は腸の内容物が正常に通過できなくなる危険な状態である。
  • 初期症状として嘔吐、元気消失、食欲不振、排便の変化が見られることがある。
  • 進行すると腹部膨満、脱水、激しい腹痛などの重篤な症状が現れる。
  • 持続的な嘔吐や激しい腹痛は、緊急性の高い腸閉塞のサインである。
  • ガム誤飲は腸閉塞以外にも、窒息や消化不良、歯の損傷を引き起こす可能性がある。
  • 喉に詰まらせた場合は、咳の有無を確認し、呼吸困難時はハイムリック法を試みる。
  • 腸閉塞が疑われる場合は、速やかに動物病院を受診し、獣医師の指示に従う。
  • 獣医師は問診、身体検査、レントゲン、超音波検査などで腸閉塞を診断する。
  • 治療は内科的治療と外科手術があり、状態によって選択される。
  • 手術費用は状態や病院によって異なり、高額になる場合もある。
  • 誤飲を防ぐためには、犬のサイズに合ったガムを選び、目の届く範囲で与えることが重要である。
  • 小さくなったガムは飲み込む前に取り上げることが推奨される。
  • 犬に人間用のガムを与えるのは絶対に避けるべきである。

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